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       チームは今シーズンの最後まで頑張ってきた。でも最終戦の中国GPでは僕が8位、琢磨がリタイアと、その成果を挙げることができず、シーズンの締めくくりを残念な結果で終えることになってしまった。

最終戦まで、僕らは諦めずにB・A・R Honda007を改良し続けた。そのかいあって、鈴鹿では予選2位、中国では予選4位。でも4番手グリッドからスタートした中国GPで、結局1ポイントしか稼げなかった。
最初のピットストップの時、セーフティーカーが入ってきてしまった。ターン10で排水溝のカバーが緩んでいたんだ。ピットを出るときセーフティーカーを抜くことができるのかどうか分からなくて困ってしまった。結局抜いた時には順位を3つも落として8位にまで下がっていた。その後は最後まで中盤の渋滞に突っかかってしまった。僕にとっても記念すべきB・A・R Hondaの100度目のGPだったのに・・・。
でも中国GPが僕の2005年の総決算だとは思ってほしくない。たしかに今年は厳しいレースもあったし、特にシーズンの序盤は大変だった。でもいい結果も残せたと思っている。たとえばフランスGPから最終戦まで、全てのレースでポイントを稼いだのは参戦しているドライバーの中で僕だけだったわけだからね。
チームは厳しい状況になるたびに巻き返し、おかげで強くなることができた。2レース(バルセロナGP、モナコGP)の出場停止のときにも、ぼくたちは一丸となってマシンの開発を続けた。
実際、最終戦では開幕戦当時のマシンより1周で1秒以上速くなっていたんだ!これはすごい進歩だよ。ブラックリーのテクニカルチームや、エンジンを格段に素晴らしいものに改良してきてくれたHondaのスタッフ全員のおかげだね。

今年、僕にとって一番の出来事は、何と言ってもドイツとベルギーでの表彰台だ。それから、イモラで3位に入ったレースもそれに匹敵する。その数日後にFIAから結果を抹消されたけれど、とにかく僕はあのレースでも表彰台でシャンパンシャワーを浴びたんだ!
グリッドでフロントローに並んだことが4回あったけれど、これもうれしかった。カナダではポールポジション、シルバーストーンとホッケンハイムと鈴鹿では 2番手。一発勝負という予選方式が僕には合っているんだと思う。それに、2006年から新しく導入されるノックアウト方式の予選も大歓迎だ。僕のようにプレッシャーの中でこそ良いパフォーマンスが見せられるというドライバーには、うってつけだからね。
ホッケンハイムでミハエル・シューマッハーをオーバーテークしたことにも満足している。それも、Hondaのグランドスタンドの目の前だったから格別だ。ミハエルは今年、ワールドチャンピオンの座を譲ってしまったけれど、それでも手強いレーサーであることには違いない。

チームの今後のことについて言うと、大きなニュースが2つあった。1つは、2006年の終わりにF1から撤退するブリティッシュ・アメリカン・タバコから、Hondaがチームの株式を100%買い取る決定をしたこと。これでチームは長期安定するし、Hondaのスタッフとの結びつきも強くなるはずだ。2 つ目は、ブラックリーの新しい風洞が、2006年半ばまでには完成し稼動しはじめるということ。これで空力関係の開発プログラムが格段に進歩するはずだ。
じつは、中国GPの後日本に戻り、栃木にある本田技術研究所に行って来年の最新型V8エンジンの開発具合を見てきた。すばらしかったよ。エンジニアはすでに、来年早々に導入する予定のエンジンをアップグレードする段階に入っていた。
栃木から英国に飛んで、ブラックリーにあるB・A・R Hondaの工場へ行き、テクニカル・ディレクターのジェフ・ウィリスやスタッフと新しいマシンについて話した。10月の終わりというのは、新車の開発にとって大切な時期。だから僕も、今シーズンのマシンについてどこを改良したらよいか、できる限りのフィードバックをしたかったんだ。
その後モナコに戻って少し休暇をとり、家族や友達と会えたけど、11月の中旬には来年に向けた準備が始っているはずだ。スタートはランサローテでの2週間のトレーニングキャンプから。このキャンプの特徴は、他のスポーツのアスリートと一緒にトレーニングできることなんだけど、かなりきついキャンプになると思う。
冬の間、体力トレーニングをたくさん積むことは重要なんだ。シーズンが始まれば数日ごとに飛行機で飛び回らなければならない。そうした移動にじゃまされずにトレーニングできるのは一年のうちで冬の期間だけだからね。僕のやり方としては、毎年冬ごとに体力をレベルアップさせる。そしてレースが始まったらトレーニングの時間が減ってしまうから、その体力レベルを維持するのに集中する。
11月の終わりにはコースに出て、今年のシャシーに来年のエンジンとギヤボックスを取り付けた “プロトタイプ”のマシンでテストをスタートさせる。完全な新車ができ上がるのは1月初めの予定だけれど、その前にこのプロトタイプで新しいメカニカルシステムの信頼性を高めることができるというわけだ。
2006年から新しくV8エンジンの規定が導入されるため、これまで以上に冬の間のテストが重要となった。その間に、パフォーマンスを極限まで追求すると同時に、信頼性も高めなければならない。でも僕は、HondaのV8エンジンに自信を持っている。 今年を締めくくるにあたって、2005年、一生懸命サポートしてくれた日本のファンのみんなにお礼を言いたい。2006年はみんなが絶叫するようなすごいレースをしてみせるよ!
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