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ベルギーGPとブラジルGPは、僕たちにとって正反対のレースだった。
まずスパのことから話そう。このサーキットは僕も大好きだ。高速の流れるようなレイアウトで、技術的にもすごくチャレンジング。その上、アルデンヌ地方は天気が変わりやすい。そういったいろいろな要素が絡み合っておもしろいレースが展開されるわけだ。
レースは、例によってスパウエザーにかき回された。当日の朝ものすごい嵐があって、サーキットは午後2時になってもまだ相当濡れていたため、インターミディエイトのタイヤでスタートするしかなかったんだ。午後は午後で湿度がとても高くてコースが完全には乾かなかった。ドライバーにとっては特に最初の数周がものすごくきつかったね。
僕の場合、序盤はマシンがひどくオーバーステアだったから余計に苦しかった。コーナーでは、僕がほとんど何もしなくても、勝手にクルマが曲がってくれるんだから!ラッキーなことに10周でセーフティカーが入り、ピットに戻ってフロントウィングを調整することができた。これでハンドリングは良くなった。そのピットストップで、タイヤをドライに変えたのは失敗だった。なぜなら、コース上はまだかなり濡れていたんだから。僕はすぐにピットに戻り、インターミディエイトに履き替えたよ。
この時点で僕は12番手に沈んでいた。でもすぐに何とか回復した。アグレッシブに走って何台も抜いた。なかでもジャック(・ビルヌーブ)を抜いた時はうれしかった。2つの高速コーナーが組み合わさったプーオンで外側から抜いたんだけれど、その前の4つのコーナーでも同じように抜こうとしていて、ここでやっと抜けたんだからね。
残り4周というとき、2位を走っていたファンパブロ(・モントーヤ)がクラッシュ。おかげで僕は3位になれたんだ。でも、表彰台に上がれたのは、全てチームが一生懸命にやった結果だ。チームとしての戦いぶりは素晴らしかったと思う。特にピットストップでの作業は完璧だったね。

スパの後、僕たちはバルセロナに移動して3日間の集中テストをした。このときのサーキットにはウチのチームしかおらず、朝の9時から夕方6時まで何にも妨げられずに走ることができた。鈴鹿用スペックの新型エンジンでもかなり走ったよ。それから、日本GPに持っていく2つのコンパウンドのタイヤを選んで、ブラジル用の空力パッケージもテストした。
ブラジル入りする前に、チームのPRの仕事がたくさん入っていた。まずレースの前週の日曜日にサンパウロへ行き、ブリティッシュ・アメリカン・タバコのイベントに参加した。そこではカートにも乗ったよ。何年も乗っていなかったからカートってこんなにグリップがあったんだって改めて感心したね。自分自身もカートで楽しんで、その後ゲストを乗せて走った。楽しんでくれていたみたいだったよ。
ブラジルGP前の水曜日、僕は記者会見で来年からもB・A・Rホンダで走ることを発表した。ウィリアムズとすでに2006年の契約を結んでいたから、フランク・ウィリアムズとは何ヶ月も話し合ってきたんだ。そしてやっと、B・A・Rホンダに留まれることができるようになった。この決定は、僕にとってものすごく大きな出来事だ。今後のことが明確になったので、今は最高の気分だ。来年ルーベンス(・バリチェロ)と一緒に走ること、そしてB・A・Rホンダでワールドチャンピオンを獲得するという夢を実現することを、とても楽しみにしている。

ブラジルGPは、悔しい結果だった。でもレースの翌週、テストチームはヘレスに移動して、問題になった部分を分析し、鈴鹿スペックのエンジンと、中国 GP用のタイヤをテストした。僕はモナコで集中的にトレーニングした方が良いと思い、行かなかったけど、テストの結果は上々だと聞いて、日本GPが待ち遠しくなったよ。
日本GPはシルバーストーンに次いでチームの2つ目のホームグランプリ。期待は大きい。B・A・Rホンダ007は高速サーキットでいいパフォーマンスを見せるマシンだ。鈴鹿はそうしたサーキットのひとつだから、走れることをすごく楽しみにしていたんだ。

「日本GPレース報告」

日本GPは残念な結果に終わってしまった。多くのファンの前で予選2位に入ることができて、自分でも期待していたのに、5位で終わるなんてがっかりだ。
今回僕は、Hondaの最新型V10エンジンを初めて使ったのだけれど、これがすごく良くって、マシンのラップタイムもものすごく速かった。空力もグレードアップしていて、マシンのスピードも信頼性も格段に良くなっていたんだよ。でもレース距離ではハンドリングがだんだん悪くなり、ドライブしづらくなってしまった。
レース前に、乾いた路面で走ることがほとんどできなかったのも痛かったね。今回僕らは新しいパーツをたくさん導入していたから、他のチームよりこのことによるダメージが大きかったと思う。金曜の午前中、わずか1時間くらいの走りでセットアップとタイヤを決めなければならなかったから、きつい作業だったよ。
レースはスタート直後の第1コーナーでジャンカルロ(・フィジケラ)に抑えられて3位に後退。それでも、最初はマシンのハンドリングも良く、いい結果を出せる自信があったんだ。
でもレース中盤、リアタイヤにささくれができ始めてしまった。2週間前のブラジルと同じ症状だ。そのせいで、後は運転がどんどん厄介になっていった。しかも、ピットストップでは2回とも、トラブルの処置をするはめに・・・。フラストレーションがたまる一方だったよ。

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