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Hondaホームページの読者の皆さん、僕の新しいコラムへようこそ!
日本のファンは僕にとってとても大切な存在なんだ。今シーズン、僕の身の回りで起こったいろいろなことを、レースだけでなくプライベートも含めて毎月報告していくのでお楽しみに。
Lucky Strike B・A・R Hondaは、2005年のシーズンを迎えるにあたってすごく忙しい冬を過ごした。でもやっただけの価値はあったよ。ニューマシン、B・A・R Honda 007は、運転していてすばらしいマシンだし、去年より格段に進歩したのがよく分かる。
ここまで来ることができたのは、見事なエンジンを作ってくれたHondaの存在が大きいね。レギュレーションが変わって、2つのGPに耐えられるエンジンを作らなければならなくなったけれど、そんな中でもRA005Eは去年より軽くてパワーもある。シャシーとの組み合わせも完璧だ。
今年のマシンなら、去年より上の成績を狙えるはずだよ。準備は万端。念願の初勝利に向けて、チームも僕も自信がある。このコラムで、ポディウムの最上段からの景色を、毎回伝えることができたらいいね。
ジェンソン・バトン
§1 第1戦オーストラリアGP
オーストラリアGPの結果には、チームのスタッフ全員ががっかりしている。かなり期待を持ってメルボルン入りしたのに、結局1ポイントも取れずじまい。2 台ともポイントを取ることができないなんて去年のベルギーGP以来だ。でもあまりネガティブにならないようにしているんだ。去年だって、シーズンが進むにつれてどんどん良くなった。今年も間違いなく同じだと思っているからね。
1回目の予選は、天候に大きく左右されてしまった。僕がコースに出た時、路面はまだ濡れていたから、フィジケラのポールタイムより約8秒4も遅くなってしまったんだ。レースではほぼずっと、渋滞にひっかかっていた。特にジャック・ビルヌーブの後ろにね。ジャックが乗るザウバーのギアボックスをにらんで、イライラしながら16周も走るハメになった。前に何もなければ、どの周も2秒は速かったと思う。オーバーテイクできそうな距離に近付くと、そのたびにジャックのマシンの気流が僕のフロントのダウンフォースをなくしてしまうんだ。それで後ろに下がる、その繰り返しだった。
でも、チームにとっても僕にとっても素晴らしいシーズンになるということへの自信は揺らいでいないよ。開幕前から言ってきた通り、とにかく勝ちたいし、タイトル争いがしたい。チームとしては、コンストラクターズチャンピオンシップで3位以内に入るのが目標だ。冬のテストの時期から、マシンの良さは分かっている。あとはレースでその力を発揮できるかどうか。オーストラリアGPはもう過ぎたこと。新しいマシン、新しいレギュレーションで臨む新しいシーズンの第1戦が終わった、それだけのことだよ。
§2 オフシーズンのこと
メルボルンではいい成績を出せなかったけれど、シーズンが開幕したというのはやはり気分が良いね。Hondaのみんなと同じように、僕もレースが大好き。またあの抜きつ抜かれつの世界に戻って来ることができて、ホント、うれしい。
開幕戦へは、東京を経由して行ったんだよ。Hondaが新シーズンに向けて恒例の記者会見を開いたから。今年の会見は、いつもとはちょっと違っていた。去年はF1チームだけだったけれど、今年は、Hondaが参戦する様々なレースの関係者が集まっていたんだ。IRLからトニー・カナーン、MotoGPからはマックス・ビアッジとニッキー・ヘイデン。他にも知り合いがたくさん来ていた。いろいろなレースとの違いを比べるのはおもしろかったし、チームスピリットの素晴らしさを感じたね。
そのイベントで分かったんだけど、各レースの中で、F1が一番多くのオフシーズンテストをこなしたようだ。F1チームが冬の3ヶ月間のテストでマシンを走らせた距離は、僕と佐藤琢磨、アンソニー・デビッドソン、エンリケ・ベルノルディの4人合わせて25,000km近い。大変な作業だったけれど、2レース1 エンジンという新たなレギュレーションの中で、信頼性を確かめるためにはこのくらいのテストが必要だということは、充分に分かっていたからね。
F1ドライバーとしては、テスト同様にプロモーション活動もこなさなければならない。だからあまり休暇はとれなかった。この仕事が好きだから、文句を言うつもりはさらさらないよ。ただ、F1ドライバーが何もせずにオフシーズンを過ごすなんていうウワサだけは、ここで否定しておきたい!
***
去年の10月の最終戦ブラジルGPが終わってすぐ、アメリカのユタ州にあるソルトレークへ撮影に出かけたんだ。楽しい旅行だった。ソルトフラット(塩の大平原)をこの目で見ることができたのも良かったな。ソルトフラットはものすごくて、何だか恐ろしいほどだったよ。
フィアンセのルイーズと一緒に、ユタからラスベガス、それからロサンゼルスに行った。その後日本に飛んで、Hondaの栃木研究所に行ったんだ。研究所には一万人以上の従業員がいて、すごく印象的な所だよ。従業員のみんなと会ったり、Hondaが2005年に向けてどんな開発をしているのかを知るチャンスもあったから、新しいシーズンに向けての自信と期待が湧いてきたよ。
ヨーロッパに戻って、11月の中旬に高地トレーニングのためスイスのツェルマットへ出かけた。ここでのトレーニングはもっぱらアップヒル・スキー。山をスキーで登るんだけれど、非常に良いトレーニングになるね。ここ数年、このトレーニングをかなり積んできて、これまでにないほど体が鍛えられたと実感している。
11 月の終わりには、04年のシャシーに05年用エンジンとギアボックスを乗せたコンセプトカーのテストが始まった。エンジニアのために、信頼のおけるデータをできるだけ多く取りたいと思ったから、頑張ってほぼ毎日100周は走った。合計で、文字通り何千kmもこなしたよ。おかげで首の筋肉も鍛えられた!
クリスマスにようやく何日か休暇をとって、ルイーズと一緒にイギリスで過ごしたんだ。僕の両親と過ごし、その後、ロンドンの北のアーセナルにいるルイーズの家族を訪ねた。ちょうどサッカーの試合があって、アーセナルがフラムに勝ったんだ。ルーはすごく喜んでいた。彼女は生まれてこのかたずっとアーセナルのサポーターだからね。
12月27日にアメリカのフィスラーに飛んで、スキーを楽しんだ。雪はまあまあっていうところだったけれど、テストの猛襲と新シーズンが始まる前にルーと一緒にリラックスした時間が持てたのがうれしかった。ちなみに、僕らのスキーの腕前は同じくらいだから、ずっと追いかけっこをしながら滑っていたよ。
***
テストは1月の第2週から始まった。僕の場合、新しいマシンに乗った時の第一印象は大抵正しいんだ。10周も走れば、空力やメカニカルグリップ、バランスといった基本的なものの調子が良いかどうか分かる。去年のマシンも良かったけれど、今年はそれより格段に進歩していて、やっぱり良いマシンだということが最初の時点で分かった。
05年の新しいテクニカルレギュレーションは、ダウンフォースを30%もカットするものだった。その中でこれだけ進歩したというのは驚きだよ。チームはすでに失った部分を回復した。また空力部門も新たな開発を重ねていて、2、3レース後にはその成果が導入されるはずだ。メルボルンで分かったように、新しいレギュレーションがF1全体のレベルを均一化した。そしてそのレギュレーションの抜け道をいち早く見つけたチームが、一歩リードできるんだ。
今の僕たちには、開発あるのみ。そして毎戦毎戦を、精いっぱい戦うつもりだ。
日本のファンは僕にとってとても大切な存在なんだ。今シーズン、僕の身の回りで起こったいろいろなことを、レースだけでなくプライベートも含めて毎月報告していくのでお楽しみに。
Lucky Strike B・A・R Hondaは、2005年のシーズンを迎えるにあたってすごく忙しい冬を過ごした。でもやっただけの価値はあったよ。ニューマシン、B・A・R Honda 007は、運転していてすばらしいマシンだし、去年より格段に進歩したのがよく分かる。
ここまで来ることができたのは、見事なエンジンを作ってくれたHondaの存在が大きいね。レギュレーションが変わって、2つのGPに耐えられるエンジンを作らなければならなくなったけれど、そんな中でもRA005Eは去年より軽くてパワーもある。シャシーとの組み合わせも完璧だ。
今年のマシンなら、去年より上の成績を狙えるはずだよ。準備は万端。念願の初勝利に向けて、チームも僕も自信がある。このコラムで、ポディウムの最上段からの景色を、毎回伝えることができたらいいね。
ジェンソン・バトン
§1 第1戦オーストラリアGP
オーストラリアGPの結果には、チームのスタッフ全員ががっかりしている。かなり期待を持ってメルボルン入りしたのに、結局1ポイントも取れずじまい。2 台ともポイントを取ることができないなんて去年のベルギーGP以来だ。でもあまりネガティブにならないようにしているんだ。去年だって、シーズンが進むにつれてどんどん良くなった。今年も間違いなく同じだと思っているからね。
1回目の予選は、天候に大きく左右されてしまった。僕がコースに出た時、路面はまだ濡れていたから、フィジケラのポールタイムより約8秒4も遅くなってしまったんだ。レースではほぼずっと、渋滞にひっかかっていた。特にジャック・ビルヌーブの後ろにね。ジャックが乗るザウバーのギアボックスをにらんで、イライラしながら16周も走るハメになった。前に何もなければ、どの周も2秒は速かったと思う。オーバーテイクできそうな距離に近付くと、そのたびにジャックのマシンの気流が僕のフロントのダウンフォースをなくしてしまうんだ。それで後ろに下がる、その繰り返しだった。
でも、チームにとっても僕にとっても素晴らしいシーズンになるということへの自信は揺らいでいないよ。開幕前から言ってきた通り、とにかく勝ちたいし、タイトル争いがしたい。チームとしては、コンストラクターズチャンピオンシップで3位以内に入るのが目標だ。冬のテストの時期から、マシンの良さは分かっている。あとはレースでその力を発揮できるかどうか。オーストラリアGPはもう過ぎたこと。新しいマシン、新しいレギュレーションで臨む新しいシーズンの第1戦が終わった、それだけのことだよ。
§2 オフシーズンのこと
メルボルンではいい成績を出せなかったけれど、シーズンが開幕したというのはやはり気分が良いね。Hondaのみんなと同じように、僕もレースが大好き。またあの抜きつ抜かれつの世界に戻って来ることができて、ホント、うれしい。
開幕戦へは、東京を経由して行ったんだよ。Hondaが新シーズンに向けて恒例の記者会見を開いたから。今年の会見は、いつもとはちょっと違っていた。去年はF1チームだけだったけれど、今年は、Hondaが参戦する様々なレースの関係者が集まっていたんだ。IRLからトニー・カナーン、MotoGPからはマックス・ビアッジとニッキー・ヘイデン。他にも知り合いがたくさん来ていた。いろいろなレースとの違いを比べるのはおもしろかったし、チームスピリットの素晴らしさを感じたね。
そのイベントで分かったんだけど、各レースの中で、F1が一番多くのオフシーズンテストをこなしたようだ。F1チームが冬の3ヶ月間のテストでマシンを走らせた距離は、僕と佐藤琢磨、アンソニー・デビッドソン、エンリケ・ベルノルディの4人合わせて25,000km近い。大変な作業だったけれど、2レース1 エンジンという新たなレギュレーションの中で、信頼性を確かめるためにはこのくらいのテストが必要だということは、充分に分かっていたからね。
F1ドライバーとしては、テスト同様にプロモーション活動もこなさなければならない。だからあまり休暇はとれなかった。この仕事が好きだから、文句を言うつもりはさらさらないよ。ただ、F1ドライバーが何もせずにオフシーズンを過ごすなんていうウワサだけは、ここで否定しておきたい!
***
去年の10月の最終戦ブラジルGPが終わってすぐ、アメリカのユタ州にあるソルトレークへ撮影に出かけたんだ。楽しい旅行だった。ソルトフラット(塩の大平原)をこの目で見ることができたのも良かったな。ソルトフラットはものすごくて、何だか恐ろしいほどだったよ。
フィアンセのルイーズと一緒に、ユタからラスベガス、それからロサンゼルスに行った。その後日本に飛んで、Hondaの栃木研究所に行ったんだ。研究所には一万人以上の従業員がいて、すごく印象的な所だよ。従業員のみんなと会ったり、Hondaが2005年に向けてどんな開発をしているのかを知るチャンスもあったから、新しいシーズンに向けての自信と期待が湧いてきたよ。
ヨーロッパに戻って、11月の中旬に高地トレーニングのためスイスのツェルマットへ出かけた。ここでのトレーニングはもっぱらアップヒル・スキー。山をスキーで登るんだけれど、非常に良いトレーニングになるね。ここ数年、このトレーニングをかなり積んできて、これまでにないほど体が鍛えられたと実感している。
11 月の終わりには、04年のシャシーに05年用エンジンとギアボックスを乗せたコンセプトカーのテストが始まった。エンジニアのために、信頼のおけるデータをできるだけ多く取りたいと思ったから、頑張ってほぼ毎日100周は走った。合計で、文字通り何千kmもこなしたよ。おかげで首の筋肉も鍛えられた!
クリスマスにようやく何日か休暇をとって、ルイーズと一緒にイギリスで過ごしたんだ。僕の両親と過ごし、その後、ロンドンの北のアーセナルにいるルイーズの家族を訪ねた。ちょうどサッカーの試合があって、アーセナルがフラムに勝ったんだ。ルーはすごく喜んでいた。彼女は生まれてこのかたずっとアーセナルのサポーターだからね。
12月27日にアメリカのフィスラーに飛んで、スキーを楽しんだ。雪はまあまあっていうところだったけれど、テストの猛襲と新シーズンが始まる前にルーと一緒にリラックスした時間が持てたのがうれしかった。ちなみに、僕らのスキーの腕前は同じくらいだから、ずっと追いかけっこをしながら滑っていたよ。
***
テストは1月の第2週から始まった。僕の場合、新しいマシンに乗った時の第一印象は大抵正しいんだ。10周も走れば、空力やメカニカルグリップ、バランスといった基本的なものの調子が良いかどうか分かる。去年のマシンも良かったけれど、今年はそれより格段に進歩していて、やっぱり良いマシンだということが最初の時点で分かった。
05年の新しいテクニカルレギュレーションは、ダウンフォースを30%もカットするものだった。その中でこれだけ進歩したというのは驚きだよ。チームはすでに失った部分を回復した。また空力部門も新たな開発を重ねていて、2、3レース後にはその成果が導入されるはずだ。メルボルンで分かったように、新しいレギュレーションがF1全体のレベルを均一化した。そしてそのレギュレーションの抜け道をいち早く見つけたチームが、一歩リードできるんだ。
今の僕たちには、開発あるのみ。そして毎戦毎戦を、精いっぱい戦うつもりだ。
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